2008 イベント&プレゼンテーション

Seminars: 金融ALM/リスク管理モデルの運営とコンピューティング・グリッド技術の応用

2008年7月11日 – 東京 – 於 大手町サンケイプラザ4階ホール
講演概要
このセミナーでは、金融実務におけるALM/リスク管理モデルの複雑化等に伴う計算処理量の増大化を背景とし、国内外で近年導入が進んでいるコンピューティング・グリッド技術について具体的な研究結果を交えて発表致しました。

Annual Reports

2008年3月の決算概況

例年この決算概況欄で申し上げておりますように、当社は非上場会社かつ無配当(=利益は社外流出しない)であり、創業から10期連続黒字決算で自己資本も厚い(=つまり内部留保の積み上げは必要ない)企業です。 仮に当社が上場会社であれば利益増は配当増(=利益は社外流出する)で良いことですが、人目さえ気にしないならばはっきり申し上げて損益ゼロが理想なのです。 当社財務の特徴は単純さ、非常にわかりやすい(=会計上の操作性がない)経営です。 当社は創業以来黒字基調で累積損失がなく、取り崩しあるいは評価替えが必要な在庫がなく、評価損を出すような固定資産も、のれん代償却を要する買収会社も、売上や利益付け替えを出来るような連結対象会社も非連結関連会社もなく、100%自社開発で外注先も存在しません。 またシステムプロジェクトの平均的な資金回収期間は約1年であり、これが運転資金の需要額です。 これほど単純な会社ですから、1年先の出来上がり業績を概ね予想できます。

2008 イベント&プレゼンテーション

R&D Reports: TSUBAME(スーパーコンピュータ)を利用したALMシステムの開発

2008年3月31日 – 東京 先端研究施設共用イノベーション創出事業【産業戦略利用】『みんなのスパコン』TSUBAME によるペタスケールへの飛翔・平成19年度新規利用拡大~において、「銀行業・保険業における ALM(Asset Liability Management)システムの開発」の研究テーマのもと、最大約 3000CPU を使用した並列シミュレーションを行いました。

2008 製品情報

Numerical Technologies Magnitude® の出荷開始

2007年5月7日 – 東京 – 当社はオペレーショナルリスク管理先進的計測手法(AMA)への対応を前提として開発したNumerical Technologies Magnitude® の出荷を開始致しました。本製品は, 株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ様で採用されました。当社製品Operational Risk Browserの後継製品となります。

コラム

財務の健全性諸比率について

2007年5月 – 東京 – 製造業における流動比率は中小企業で120%台、大企業でも130%台が平均です(経済産業省:商工業実態基本調査)。当社のように900%を超える企業はきわめて珍しい存在と言えるでしょう。有利子負債比率が0%ということは、銀行に行く理由は預金取引と貸金庫取引程度という意味です。固定資産比率は一般に長期固定される設備投資に見合う数値です(=もしもそうでなかったらそれは財テク企業)。優良大企業であっても固定資産比率は容易に100%を超えます(=固定資産比率100%超とは他人資本で賄われる借金体質)。それが当社は固定資産比率が事実上ゼロ。 ということは、設備機械がほとんど要らない業態であるとともに、自社ビル等の固定資産あるいは塩漬けになっている投機性資産が存在しないことを意味します。当社の90%に迫る自己資本比率も、中小企業が20%台、大企業が40%程度が製造業の平均にすぎないことを考えますと明らかに高水準です。 このように財務分析的な健全性は自慢できるとしても、経営の巧拙の観点から見れば異なる評価、厳しい評価になります。すなわち、健全性指標が良いのはいいが、良すぎるのは企業として投資を通じた将来の利益向上努力を怠っている、石橋を叩いて渡り過ぎている、という批判です。無論、もし当社が上場していれば間違いなく株主から、「経営的に冒険してもっと稼げ」、「過剰な手元流動性を減らして経常経費節減につながる固定資産を持て」、「それもできないならば配当性向を高めよ」、などと言われるでしょう。そうならないのは、当社は非公開会社で「当社の株主=働き盛りの主力従業員」であり、非株主の従業員も情報サービス業平均を遙かに上回る高給取り(=労働分配率が高い)なので、従業員の意思(=利益追求の前に安全性を選好して雇用を安定させたい)が株主の意思になるためです。 毎年毎年、信用情報調査会社のデータベースが更新される度に、ベンチャーキャピタル各社の営業の方が当社に接触して来られます。おそらくこの決算概要を一番熱心にお読みになるであろうその種の営業の方々に申し上げておきますが、財務内容が示す通り、また当社役員が元は某メガバンクの市場部門に長く勤めた者であることからご想像できるかと思いますが、仮に上場したければ我々は何年も前にさっさとしているわけです。現在の財務内容は言わば確信犯的にこのような内容に誘導しているのであり、したがって当社が外部の投資事業組合から株主を迎える可能性はまったくございません。また、無理な経営拡大策を弄して上場を狙う意図もありません。あくまで自然体が一番。赤字が出れば出せばよいしそれならば非上場の方が気楽だし、高成長が何年も続きそうで上場に見合うのであればその時に上場すればよい、大体年商数億円程度で簡単に上場させるような今のマーケットの方がおかしい、こんな風に考えています。

2007 コラム

新BIS規制 (Basel II) が始まる

2007年5月 – 東京 – 私がこの原稿を書いている場所は、英ICBIの金融カンファレンス”Risk Capital 2007″(*1: ICBI Risk Capital 2007)が行われているホテルです。このカンファレンスは民間主催とはいえバーゼル銀行監督委員会議長も講演し、世界各国の金融機関やコンサルタントが集まります。おかげで規制当局と民間との良いコミュニケーションの場になっているようです。こうした場は金融機関の本音が飛び出して面白いものです。その中から興味深いテーマをひとつご紹介したいと思います。 今年度以降いわゆる新BIS規制(Basel II)が各国で実施されます。この規制導入によって、金融機関が持つ資産の信用度に応じて必要自己資本が変動するようになります(下図)。 Basel II 導入で EC (Economic Capital) 管理の重要性が増す ドイツ銀のプレゼンによればその変動幅は実に15%になるのだとか。改めて言われてみると非常に大きく感じませんか。 Basel IIが導入された後、金融機関はこれから4種類の自己資本を意識しなければなりません。すなわち、(1)時価総額、(2)会計上の自己資本、(3)BIS規制上の必要自己資本、(4)内部モデルで計算する自己資本、の4つです。(3)と(4)が異なる理由は、Basel II自身は真のリスク量を反映していないというのが市場参加者のコンセンサスであり、規制当局もBIS規制の第2の柱(Pillar II、金融機関の自己管理と監督上の検証)として暗黙のうちにそれを認めているので、各金融機関はBIS規制用とは別の内部基準に従ってリスク管理を行っているからです(*2: 悩ましき Pillar II & III)。ちなみに、(3)に比べると(4)は遙かに小さくなるのが普通で、シティバンクのプレゼンなどは真のリスク量対比で見ればBIS規制上の必要自己資本は4倍も過大であると主張していました(*3: BIS規制上の必要自己資本は過大か)。 それでBasel II導入後は、(3)の許容度を決め、(4)を計算してビジネスユニット別に配分する仕事が新たに発生します。この職務権限が明確ではなかったので、ドイツ銀行の場合は従来のALM委員会を廃止し、新たにEC(Economic Capital)配分に関する全権を担う委員会Capital and Risk Comitteeを新設したのだそうです(下図)。 ALCO廃止とLEMGの新設 ドイツ銀行の説明によれば、融資でとったポジションは日次で勘定をLEMG(Loan Exporsure Management Group)に移管するとのこと。LEMGはCRCが定める枠に応じて市場でヘッジするなり外すなりに責任を持つのです。銀行業に携わったことのある方ならば説明を要しないと思いますが、この種の理想論には明らかな欠点があり(*4: ドイツ銀行方式は正しいか)、しかも時期が悪い(*5: CROの大切さ)。それでもなお、我が国では1990年代に導入が進んだスプレッドバンキングがまたもや時代遅れになりつつある点に注意を払うべきです。 すなわち、銀行の取締役会・経営会議の役割が変わるということ。従来であれば先のグラフに示した通り必要自己資本額など大して変るものではありません。だから、3か月に1回程度ALM委員会を開いて形式的なEC配分を行い、銀行の経営陣は「適当に」リミットを追認していればよかった。極論すれば経営会議の場で経営判断してもらう必要はない。だからトップに人材を得なくても何とかなったのです。 ところがBasel IIが適用になるとECが大きく変動する。余ったECをどこに配分するか(どこに貸すか)。不足するECをどこから回収するか。あるいは収益を犠牲にして外したりプロテクトを買うのか。そうした経営判断を上にしてもらわねばなりません。だから市場感覚を持ち「任期中にポジションを張る」覚悟を決めた経営陣を持たない銀行はとても不幸になりそう。景気変動の1サイクルが終わってみれば、上に人を得たライバル行に業績面で遠く引き離され、株価も下がり、買収の標的になってしまった。そんな想像も現実化しそうです。 ところでBasel IIが導入されて困るかと言えば、開き直った金融機関経営者にとっては逆に朗報もあります。Basel IIフレームワークに従いリスクアセット額の上限付近で運用する金融機関ポートフォリオにおいて何らかの外的要因(景気変動)が格付け低下を生じたならば、(リスク資本を消費しない)高格付け先への貸し出しを増やすのは構わないが、(リスク資本を消費する)低格付け先への貸し出しは回収すべきである、と読めます。景気変動が原因であろうとなかろうと、総貸出量と貸出先配分の問題は外挿シナリオさえ与えたならば機械的に算出される。そこに恣意性はありません。だからこそ理論上はバブル崩壊時にされたような「不動産融資批判」や「貸し渋り批判」などとんでもないわけで、それはマクロ問題=当局の問題であり、民間金融機関はバブルが起きたら一緒に浮かれないとダメであります。そしてバブル崩壊を読んだらさっさと外すか貸出回収しないといけません。そうしなければ、先に記したとおりライバル行に業績面で引き離され、株価も下がり、買収の標的になってしまうかもしれない。ですから、再びバブルが起きたら「バブルへGO」(*6: 次のバブル&バブル崩壊は政策当局発になる?)。 実にわかりやすいと思われませんか。近年流行のCPMもこの方向に育てねばならないのでしょう(*7: CDSレバレッジの恐怖)。 *1 ICBI […]

コラム

グリッドコンピューティングの経済学

2007年5月 – 東京 – あなたが金融機関のシステムプロジェクトの責任者で「グリッドコンピューティングを導入しよう!」とシステム業者さんを集めたとします。すると、バラ色の話をこれでもかと言うほど営業マンやコンサルタントから聞かされて有頂天になること請け合いです。なぜならば、学術研究のグリッドコンピューティングや、http://setiathome.berkeley.edu/のような不特定多数の参加によるシステムとは違って、セキュリティが優先する民間企業ビジネスにおけるグリッドコンピューティングは閉鎖されたネットワーク内で行われるのであり、大抵は大量のブレードサーバの導入につながるからです。考えても見てください。「今期販売計画XXX台ブレード売って来い!」と言われたメーカの営業マンを。彼らの目の前には数千万円から数十億円の商談がぶら下がっている!一商談で数百台売れてしまうんですよ。社内表彰モノではないですか。 そこでこのコラムでは、IBMとかHPとかガートナーが絶対書けない(社命により書いてはいけないのかもしれない)話題を扱います。すなわち、グリッドコンピューティングを導入するにあたって本当に知っておかねばならない知識です。 システム屋がグリッドコンピューティングを好む理由 グリッドコンピューティングが最新技術?とんでもない。並列処理の話題、分散処理の話題はそれこそコンピュータの創生期からある話題、周期的にブーム化する商談です(前回ブームは記憶にないかもしれませんが10年以上も昔)。それでは今回はなぜ注目されているのか、その理由を理解するためにまず次の図をご覧ください。 Intel製CPUのクロック周波数の変遷(単位:MHz、対数目盛) この図を見れば2004年付近を最後にしてCPUの処理能力向上が止まっているのがわかると思います。新しいパソコンを買っても何だか以前に買い替えたようなスピードアップ感がなくなったと感じませんか。その原因の多くはCPUの処理能力が頭打ちになったためで、そのまた背景には物理学的理由と経済学的理由の両方があります。重要なことは、今立ちはだかっている技術的壁は巨大で、おそらく今後何年も(10年以上かもしれない)この性能頭打ち状態が続きそうだということです。詳しい理由は別の論文をご覧ください(例えば、W.W.ギブス, “マルチコアチップ”, 日経サイエンス2005年2月号, p.98)。 つまり性能を目玉にしている限り、コンピュータの買い替えを促せないことを意味します。それで米Intel社をはじめとするCPU製造メーカーはチップ内並列処理「マルチコア」に走り、システムメーカーはたくさんサーバーを繋げば速くなると言って「スケールアウト」という新語を発明したのです。このスケールアウトをカッコよくしたのが「グリッドコンピューティング」と思えば間違いありません(なお学術系グリッドの場合はインターコネクト技術の発展をグリッドブームの理由とするかもしれないが金融系とは別世界の話)。 スケールアウトをうまく使えば大変経済的なシステムが生まれます。次の図をご覧ください。 CPUクロック周波数別・メモリ量別の標準的なサーバー価格 [出所] 2007年6月における、64ビット版Windows, 73GB x 4 HDD を搭載した2CPUサーバの市中価格、当社調べ この図が示すのは、サーバ機の価格はある規模以上になると急激に上昇するという事実です。サーバ機の価格に関する限りCPU単体の影響は軽微で、支配要因はCPU数と搭載メモリ量。この原稿を書いている現在ではCPU数にして2CPU(ソケット)を超えたり、メモリ量にして16GBを超えると、突如価格が跳ね上がります。つまり性能対価格比から見れば2CPU(現時点では8コア)16GBメモリ機がお買い得(その理由にはCPU=メモリ間インターフェイス問題とDRAM市場サイクルが関係しますが本題とは関係ありませんので割愛します)。SunやHPの巨大なサーバを買うよりも(=スケールアップ)、この2CPU機をたくさんつないで使う方が(=スケールアウト)、絶対賢いと思いませんか。 ところが話はそんなに単純ではありません。忘れているポイントを2つ指摘しておきましょう。 第1の問題は、そんな並列ハードウェアに対応するソフトウェアを誰が書くのか。 2005年頃に「ソフトウェアにおけるフリーランチ」として専門家の間で話題になりました。 詳細な理由は、“The Free Lunch Is Over: A Fundamental Turn Toward Concurrency in Software By Herb Sutter” (Herb Sutter氏は斯界ではD.E.Knuth教授並みに著名な方で現在は米Microsoft社のコンサルタント) に説明されています。きちんと動作する並列処理ソフトウェアを書くのはとても難しい。これが任天堂のWiiやマイクロソフトのXbox360に比べて、ソニーのゲーム機PS3(マルチコアCPUを使っている)対応のゲームが出揃わないひとつの理由です。価格ばかりがソニーのゲーム機戦略失敗の理由ではありません。 第2の問題は、グリッドコンピューティングシステムは故障する、ということ。 故障しやすさを表す用語に、平均故障間隔(MTBF)、平均故障時間(MTTF)、というのがあり、メーカーのカタログを見ておりますととてつもない数字が書いてあります。例えばMTTFが100万時間とか。それでは「114年に1回しか故障しないのか!」と思った方にはマシンルームで作業しているエンジニアが真相を語ってくれるでしょう。現実は次の図の通りです。 米Google社における利用年毎のハードディスク平均故障率 [出所] Eduardo Pinheiro, Wolf-Dietrich Weber, and Luiz […]