2006年3月17日 – 東京 – Windows Server 2003 x64 on デュアルコア Intel Xeonプロセッサーで、当社製品の正式サポートを開始いたしました。 各アプリケーションのサポートバージョン等、詳細は個別にお問い合わせ下さい。
2005年12月22日 – 東京 – リスク指標と経営戦略を結ぶ資本効率性指標 米国で利用が拡大する資本効率性指標 わが国における資本効率性指標の活用の現状と課題 RAPM に関する3種類のアプローチ CAPM の終焉? 金融機関の経営戦略とRAPM 週刊 金融財政事情 (2006年新年特大号)
2005年12月8日 – 東京 – 於 大手町サンケイプラザ4階ホール
講演概要
このセミナーでは、銀行・保険業界においてALM実務における「現状の問題点と今後の課題」についてとりあげました。当日は約270名の方にご参加いただきました。
2005年9月28日 – 東京 – CreditBrowser® 信用リスク管理システムの 64 ビット CPU Intel Itanium2 (IA64) 対応版に関する正式サポートを開始致しました。本システム Version 3.4.x は次の新しい機能を備えています。 1,000万取引件別への対応 従来より当社製品の特徴のひとつは高速性であり大規模金融機関の実運用に耐えうる高可用性でした。信用VaR自体は珍しくもない今日では類似する機能は他社システムにもみられますが、いずれも精度を犠牲にして性能を確保する、業務面の妥協を要求する、あるいは非常に低速なローエンドユーザ向け製品です。 そうした中で10万回級のフルモンテカルロシミュレーションを100万取引件別規模で実現した CreditBrowser® はハイエンドユーザの要求に耐えるほぼ唯一の製品であったわけです。しかし一方で金融機関の再編が進み、計測対象ポートフォリオの巨大化が問題になりつつありました。具体的には500~1,000万取引件別への対応(=大手金融機関の法人向け与信+個人向け住宅ローンの全数入力)を求める顧客が存在していながら、既存の 32 ビット CPU 環境の場合には100万取引件別規模が計算能力の上限でした。この Version 3.4.x は当社からのひとつの回答です。日本ヒューレット・パッカード株式会社の Itanium2 機 HP Integrity サーバ Superdome (32 CPU / 32GB Memory) を使って測定した結果によれば, 1,000万取引件別の時価評価 x 1万回 (倍精度) のモンテカルロ計算を Version 3.4.x は12時間弱で実行します。 新しいバーゼル自己資本比率規制への対応 従来の信用VaR、EL計算機能に加えて、Basel II 関連の信用リスク指標を計算します(本機能は標準製品には含まれないオプションです)。信用VaRとともに基礎的内部格付手法(FIRB)および先進的内部格付手法(AIRB)に基づく信用リスク指標を同時に計算表示することが可能になりました。CreditBrowser® が備える扱いやすいユーザインターフェイスは変わっておりません。したがって、金融機関全体レベルから、部門レベル、個別のファンド、さらには取引件別の詳細に至るまで信用補完されていく状況を、ツリーメニューをドリルダウンしながら詳細にわたって分析できます。また、すべての取引件別についてBasel II 関連指標をファイル出力することもできます。この機能を使用する場合、CreditBrowser® […]
2005年6月22日 – 東京 – Altitude® ALM システム、 ならびに PortfolioBrowser® 信用・市場リスク管理製品の 64 ビット CPU Intel Itanium2 (IA64) 対応版に関する正式サポートを開始致しました。 Itanium2 に対応する当社製品は、 Altitude® version 1.4.4 以降、 PortfolioBrowser® 1.6.4 以降になります。 対応 OS は Microsoft Windows 2003 Server の各エディションとなります。 この Itanium2 対応版システムは、 サープラス型ALM、 NIIシミュレーション、 Over 10、000 scenario 級のモンテカルロシミュレーション、 日次・長期間の多期間シミュレーション、 年金・保険系の複雑な商品構成への対応、 中途解約への対応、 予定利回りの変動への対応などを必要とする大手金融機関の高度なニーズに応えるものです。 当社の製品は、 1998年のリリース当初から 64 ビット CPU 対応です。 すなわち、 当時唯一の汎用 […]
2005年5月 – 東京 – 当社のALMシステム Numerical Technologies Altitude® は、金融機関の全資産負債の入力を前提とした動的ポートフォリオ・シミュレーション・モデルです。 この立場から見れば、マチュリティ・マッチング型、デュレーション・ギャップ型、アセットマネジメント型、サープラス型などのALM手法の分類は、モデルに入力された資産負債の範囲と、モデルに設定されたリスクファクターの種別に帰結し、これらすべてのALM手法は動的ポートフォリオ・シミュレーション・モデルに包含されます。つまり、動的ポートフォリオ・シミュレーション・モデルは他のALM手法を包含する上位概念であり、ALMの性格づけは運用の側に依存します(下図)。 動的ポートフォリオ・シミュレーション技術の応用開発を進めるにあたっての前提は、現在および近い将来のコンピュータ技術の進歩です。これにはハードウェア的な技術革新はもちろん、優秀な人材の投入、長期的な開発経験の蓄積、十分な開発予算投入という意味が含まれます。当社が未来技術として現在注力するのはこの分野なのです。 なお目先的な金融機関顧客からのニーズとしては、むしろ静態的な純収益シミュレーション(NII)や、伝統的なギャップ分析の方が好まれることも事実。このあたりが私たちの研究への興味と現実のビジネスとをバランスさせねばならない勘所のようです。
2005年5月 – 東京 – 大学における金融工学に対する人気が急低下しています。金融機関の中でもクォンツは今ひとつ元気がありません。本項はそれにもかかわらず、金融工学の研究面の先行きが暗いわけでは決してないという話題です。 長年、市場取引や金融リスク管理に携わっていて感じるのは、実業界と学界との間にある著しいギャップです。例えば、 実業としてのデリバティブブームも去った1990年代末になって突如金融工学関連の講座が多数新設され、書店に金融工学関連の書籍が並ぶ。時を同じくして外資系デリバティブデスクでは大リストラ旋風が吹く。 信用リスク計測が金融当局のオフサイトモニタリングほかに活用されるなど、実運用段階に移ったのは1998年頃から。それが2001年にもなって、学界では信用リスクモデルが大きくとりあげられる。 1990年代の金融危機の記憶が未だ覚めやらないのに、「市場VaR計測を高度化するため、リスクファクターの分布推定にGARCHモデルを使おう」といった1994年ばりの主張をする学者が時々いる。 といった様子を眺めれば、学生でなくても「金融工学って駄目だな」と思うことでしょう。1980年代の内外金融機関で行われた研究の成果物が、今になって書籍化・論文化されています。正式な論文が(学界に)提出されていないからといって、実業界の先行研究が無視されていたりしますから、学者としてのモラルも地に落ちたと思われるのでしょう。私たちの位置から眺めても、実務家の多くは現在の学界を先端研究の場とは考えていないようです。経験豊富な金融ビジネスマンであればあるほど「金融工学」を金融商品の開発作業に欠かせない技術として評価する一方で、評価しているのは単なるテクニックだけであって学者が何か言っても門外漢の意見とみなしてしまうのが現実です。特に金融ビジネスマンの国内の大学論文に対する興味は薄く、大学を学生のリクルート先、社員研修先、あるいは引退後の再就職先としか考えていないように見えます。 ただ、だからといって、「今頃そんな研究やってて何の意味があるの」的な批判は本質からはずれていると思います。まず、すべての研究者にみられる問題ではないこと。長くこの分野で先駆的な研究をしておられる大先生やまじめな研究者もいるわけです。また、そもそも学界も民間もモラル面では大差ないこと。大学人も学業に殉じているわけではなく、生活がかかっているわけです。独立行政法人化を控えて大学は大変、教官陣もビジネススクールの営業マンをやらねばならない内情があります。大学人事は研究の質だけではなく、査読論文の数によって(時には査読論文本数の方がむしろ重要視されて)昇格が決まる世界ですから、独創性に乏しい営業マインドの入った論文、剽窃に近い論文、既知の話題を新発見のように扱う論文を書きたくなることもあるでしょう。つまり、私企業である銀行やマスコミに対して過度な「公共性」を訴えても仕方がないように、行政改革の流れの中でモラル面も実業界並みになった大学や政府系研究機関に文句を言っても仕方がないのであって、新しい状況に慣れていない世間の方が明治以来の学尊民卑思想をひきずっているだけだと思います。文句があれば「私学助成金は無駄遣い」とか、「TLOは民業圧迫」と批判する、あるいは知的所有権を侵害した研究者個人を相手に訴訟を起こすのが筋でしょう。そうでなければ電機業界他で公然と行われてきたように産学協同とか名目をつけて、政府補助金目当てのロビイングに大学や学者を利用すればよいと思います。そんな下世話な話題は学問領域全般にみられる傾向であって金融工学固有の問題ではありません。 むしろ深刻な問題は現在の金融工学が実態面から大きく遊離していることです。例として、金融工学における主たるテーマのひとつ、ポートフォリオのリスク計測技術について比較してみましょう(下図)。 研究室レベルと実用レベルでは斯くも異なることがわかるでしょうか。これが実業界の人が「論文など読む気になれない」主な理由です。実務経験のある人々が著した書物*1を読めばわかるように、今日ある実用レベルのリスク計測技術には次の要素技術が関わっており、学界でよく議論されている金融工学の守備範囲とは大きく乖離しています。 解析的な意味での基礎理論。これは現在でも、マーコビッツ[1952]*2、シャープ[1964]*3、リントナー[1965]*4、の業績が基本になっています。この分野で先行する米国でも後追いの日本でも、実践した上で有効と証明されないような理論はゴミ箱行きです。 コンピュータ上の実装手法と線形代数。現在の金融工学ではほとんど採り上げられないか、採り上げられていても「間違い」の多いテーマです。今日では、民間レベルの高度な技術力がなければ、実用レベルのシステムを構築できません。 リスク管理の方法論そのもの、あるいは運用と管理にまつわる問題。経営学の領域です。これも現在の金融工学ではほとんど採り上げられません。 現在の金融工学の欠陥のひとつは、基礎となる数学理論、なかでも解析的な方面、微積分学や確率論に依った手技に偏り過ぎである点です。基礎数学関連の話題が一通り出回った現在では、数学よりもマクロ経済学、会計、情報科学の領域に属するテーマへのニーズの方が高いのです。特に日本の場合はもともと理学部・工学部系から出発した経緯があってこの方面を担う人材が金融工学研究者の中に乏しいのは根本的な問題であり、他の方面からのフィードバックも十分とは考えられず、学界の自発的なパラダイム転換は容易ではありません。私たちを含めた実業界に属する者も、成果物を大学など研究機関に流せばコピーされて別人の業績になるのが落ちですから、学業に対しては協力的とは言えません。 しかし、見方を変えれば、これはある意味でチャンスではないでしょうか。確かにコンピュータ上の実装は熟練した人材が乏しい金融工学系学問機関では難しいかもしれない。それならば、出来の悪いプログラムを大学院生に書かせるのはやめて、堂々と科研費を請求して大学外に外注すればよいでしょう。市場競争下にある民間レベルには及ばないにしても、実用レベルの立派な研究をするには足りると思います。本格的な多変量問題に応用展開するのは数学科中心の人材では難しいかもしれません。それならば、他の工学系や物理学系に進んだ本格的な研究者と協力すればよいでしょう。また、大学の方が民間よりもゆとりを持って研究できるでしょうから、本流のマクロ経済学の方面、特に金融論や会計学から金融工学に入られる方々には、本質的な問題において十分に活躍する余地があるでしょう。新しい分野を拓くならばきっとこの方面であると思います。 金融は実学の最たるものであり、純粋数学と勘違いしてはなりません。物理学と同じで理論が数学的にいくらよく出来ていても実戦で誤りとわかれば駄目なものは駄目です。新しくこの分野を研究される方には、怪しげな確率変数を使ったり姑息な数学に凝るのではなく、私たちがいつも抱いている、「自己資本比率規制など意味があるのか」、「そもそも○×のリスク管理など可能なのか」、といった本質的な議論に発展させて欲しい。常識で考えてみましょう。メガバンクひとつで一国の経済の相当量を占めるという時代のリスク中立な理論など説明力に乏しいと思いませんか?リスクファクターの非線形性ばかりいくら追求したところで、ポートフォリオ自体の非線形性、時間的不連続性、不確実性を無視していればリスク評価は怪しいものでしょう?デイトレーダーを見ていると情報論と金融論の間に新天地がありそうに思えませんか?金融工学の教科書は綻びだらけですし、解決すべきテーマは山のようにあり、そして私たちは本物の成果を待っています。問題の本質に目を向け、実業に貢献すること、それが金融工学の役割であると思います。 *1 次の翻訳本2冊を推薦します。 ゴールドマン・サックス、ウォーバーグ・ディロン・リード著、藤井健司訳、「総解説・金融リスクマネジメント」、日本経済新聞社 ミシェル・クルーイ、ダン・ガライ、ロバート・マーク著、三浦良造訳、「リスクマネジメント」、共立出版 *2 Markowitz, H.M., “Portfolio Selection,” Journal of Finance 7 (1952) *3 Sharpe, W. F., “Capital Asset Prices: A Theory of Market Equilibrium under Conditions of Risk,” Journal of Finance 19 (1964) *4 […]
2005年5月 – 東京 – 今日の金融リスク管理はきわめてニッチな分野です。もちろん新聞や雑誌、金融論や経済学の先生に問えばリスクマネジメントは広く普遍的な分野だと答えることでしょう。しかし、メガバンクに匹敵するような金融資産の規模、複雑な取引形態を有する組織が世界にいくつあるかといえば、これは少ない上にますます集約化される傾向にあるのです。例外はヘッジファンドですが、ファンドに対する強力な規制(=リスク管理と統制)が仮に将来行われるとしても、それはかなり先になるでしょう。こんなわけで金融リスク管理を専門にする人々は非常に少ないのです。 金融リスク管理システムを構築する場合、理想的には金融機関自身がそのような専門家を擁していればよいのですが、大抵は経済的に引き合いませんし、専門家の処遇にも困り、専門家自身も身の振り方に困るので、単独開発はなかなか成功しません。ここが同じ専門家であってもより潰しのききやすい他分野とは異なるところです。そこで金融機関は外部に発注するのですが、発注先にも結構なリスクがあります。リスクマネジメントシステムを大きなシステムベンダーに開発依頼したとしましょう。特殊なリスクマネジメントシステムであればあるほど市場は小さいので、優秀なプロパーの人材を長く張り付けてはおけません。いきおい仕事は下請けや海外に回るので、もちろん能力が高いはずはなく、開発が難航するなり失敗するなりして幸福な結末は待っていないのです。今日ではVaRシステムを経験不足のシステムベンダーに委託開発すれば、どんなに立派なコンサルタントがつこうが、モデルリスクに頭から突入するようなものでしょう。 では専門的な企業(当社も含まれるでしょう)に頼めばよいかと言えば、これは見極めが難しいのです。事業者の立場から見るとリスクマネジメントシステムはプットオプションの売りに似ています。弁護士や医者のような専門職と同じでスキルさえあれば食べていけるものの、潜在市場が小さいので事業規模はいつか頭打ちになることを覚悟しなければなりません。 つまり、金融リスク管理の専門企業の能力は、まさに事業者がその製品を愛しているか否かにかかっていて、まるでNHKの人気番組「プロジェクトX」の世界を延々と続けるようなものなのです。ゆえに事業意欲(ケインズ言うところのアニマルスピリット)が旺盛で拡大指向の事業者は、潜在市場がより大きい異業種に転じたり、見栄えが良くなったところで身売りします。米Infinity(SUNGARDが買収)、加Algorithmics(Fitchが買収)、米FEA(Barraが買収)、米KMV(Moody’sが買収)など枚挙にいとまがありません。そこから先も質の高いサービスが提供されるか否かは「プロジェクトX」から「ビジネススクールの授業」の話題になります。買収した側も専門企業ならばサービスが残るかもしれませんが、大きなシステムベンダーやコンサルティング会社が買収するケースでは、事業売上が頭打ちとみられた時点で事業戦略の見直し=人員の再配置が行われます。つまり比較的短い期間で実質的にサービスは消滅してしまうのです。 金融リスク管理の専門企業に淘汰圧力がかかりやすい理由は以上の通りです。なお、私による上記解説を聞いて、「専門技術分野であれば当たり前ではないか」、「利益率が高いのになぜ事業を継続しないのか」、と不思議に思われるみなさん(特に製造業の方)がおられることと思います。以下の補足説明はそのような方のためのものです。 一口に「金融リスク管理の専門家」と述べましたが、この種の人々は金融機関の中でも高収益分野であるトレーディング分野に重なります。生涯クォンツやプログラマーとして他人に酷使されるような立場であれば別ですが、「金融リスク管理の専門家」として身を立てる者ならば、トレーダーとしての成功とリスクマネジメントビジネスとしての成功は多くの場合に人生における比較可能な選択肢です。 加えて、知人も(40歳になる前に引退を目指す)ファンドマネジャーやトレーダーであったりします。つまり周囲のビジネスに対する期待収益率が極端に高い。元はといえば、だからこそ製造業では満足できず、金融業に飛び込んできたのですから。先にいくつか社名を挙げましたが、みな出自は似ています。それでもなお金融リスク管理をビジネスで続けるとすれば、人生のどこかの時点で考え方を改めたのか(そういう虚しさを感じた元トレーダーは少なくありません)、あるいはもともと仕事が好きでたまらないかであり(そういう方も存在します)、資本の論理(金融マンならば叩き込まれます)によるものではありません。夢のある話ではありませんが、我々にしたところでバブル期に味わった空虚な経験があるからこそ今の心境にある、そのように整理できると思います。
2005年3月 – 東京 – オペレーショナルリスクに関する強い理論モデル指向は国内も海外も、すっかり冷めてしまいました。もちろん、規制当局から、「オペレーショナルリスク管理を推進する議論をフレームアップしたい」、という強い意図が伝わってきますし、そうした事情に理解もするので、オペレーショナルリスクの計量化自体におつきあいはするわけです。我々もオペレーショナルリスクをEVTとモンテカルロ法を使って計算するシステムを提供する会社なのでついていきたいとは思います。しかし、申し上げにくいけれども、これは無理筋です。 我々のようなリスク計量技術の専門家にとっては、高度でも難しくても、システムを作ること自体は問題ありません。しかし不確かなデータ、稀なイベントという現実に対して嘘はつけないのです。技術屋の立場からオペレーショナルリスク計量化理論を見ると、高級そうな数式を使うからもっともらしく見えるだけなので、「これではわけがわかってない金融機関の人が信じてしまうかもしれない」との思いがよぎり、良心が痛みます。オペレーショナルリスクの計量システムというのはそんな存在、なんとか分布もかんとか理論も本質とは関係のない、数式の形をした法律文書なのです。もし背後の数式に深遠な意味があると考える人がいれば、それはモデルリスク。きっと内外問わず「先進的金融機関」の方々も同じ思いだと思います。 確かに少し前まで理論万能主義を唱える論調が民間の一部にあったことは事実です。しかし今や火元である元 Earnst & Young と元 Bankers Trust の人々はどこかにいってしまい、オペレーショナルリスク管理システムのベンチャー企業 OpVantage は結局 Fitch に買収され(現在 OpVantage は同じく Fitch に買収された Algorithmics と協業中)、海外のコンサルタントやベンダーも大きな商売にならないので真面目に取り組んでいるとは思えません。こうしたケース(不発に終わった金融テクノロジー)の常として、成れの果てを統計ソフトベンダーの片隅で見ることがある程度であり、その先にある未来も予想してしまうのです。 こうした事情により、内部モデルによるオペレーショナルリスクの計量化手法が、政治ではなく実質的な意味で自己資本比率規制に耐えうるほど昇華するとは目先考えられないのです。我々はリスク管理システム専業のメーカーなのですから、それでもなお、文句を言わずに金融機関を支えていかねばなりません。
概況 前会計年度(2004年4月~2005年3月)の売上高は360,463,300円(前期比19.0%減)となりました。 この期は事務所移転費用の発生による特殊要因がありましたが、売上、利益ともにほぼ予想の範囲に収まり、前期決算時の予測で示した通りの着地となりました。 このように業績予測が正確なのは、システムプロジェクトの平均的な資金回収期間が約1年であるために、当社財務には1年後の業績を概ね見通せてしまうという特性があるためです。 その他財務項目については、事務所移転と開発機器更新に伴う費用発生があったものの経費水準は前期並みであり、株主資本比率(自己資本比率)は94.9%となりました。 当社は設立当初から無借金経営、黒字決算で借入金がなく、販売製品は100%内製であり買掛金もほとんど発生しません。 したがって、非常に健全な財務内容となっています。 今期は、前期からの受注案件を消化する一方で新規の大型案件を並行してこなさなければならない大変忙しい時期にあたります。 このうち一部は今期中に計上されるため、売上、利益ともに過去最高となる見込みです。 当期売上高 360,463,300円 昨年度の売上高には、主力の統合リスク管理システム製品 PortfolioBrowserと、ALM(資産負債管理:アセット・ライアビリティ・マネジメント)製品 Altitudeが貢献しました。 当社は大手の金融機関から直接受注して製品開発を行うパッケージソフトウェア業であり、販売商品は自社開発ソフトウェア製品です。 外部のシステムインテグレーターを介した契約はなく、仕事の外注も行っておりません。 従って仕入れも在庫も基本的に存在しません。 販管費の大半は人件費が占めております。 資産の状況 金融資産については安全性と流動性を重視し、普通預金と円建ておよびドル建てのMMFに分散して保有しております。 定期預金、運用目的の長期資産、節税目的の保険資産は一切保有しておりません。 固定資産は大半がコンピュータのハードウェアです。 すなわち、当社資産は超短期かつ流動性のきわめて高い資金ポジションになっております。 資本の状況 資本金 50,000,000円 + 準備金 211,178,000円 (2005年3月決算後) 資本勘定の211,178,000円は法令に定めるプログラム等準備金です。 租税特別措置法第20条の2第1項及び第57条第1項の表の第1号の中欄のロに規定する汎用プログラム(制御プログラム以外のもの)として、情報処理振興事業協会にソフトウェア登録。 登録番号 25295。 登録年月日平成11年2月28日。 このプログラミング等準備金については法令改正(廃止)が決まっており、当社では2004年3月期決算から逐次取り崩しております。 株式保有状況については、当社の取締役3名が当社株式を100%保有しており、外部との資本関係は一切存在しません。 当社は資本的に中立的な企業です。 設備投資の状況 今日のリスク管理は装置産業でもあります。 高い開発生産性を維持し、顧客金融機関のニーズに応えていくためには自社保有システムを強化していかねばなりません。 近年は特に金融機関の合併が相次いでおり、顧客保有データと同等規模のテスト環境を整備するだけでも一苦労です。 特に負債サイドALMや日次シミュレーションを実現するためには、多大なハードウェア投資を必要とします。 このため、引き続き高水準の設備投資を行っております。 とはいえ、経費面における最大の費目は人件費であり、財務上の設備投資が占める割合は僅少です。 これは実質的に人への投資=設備投資という研究開発型企業に特有の体質です。 当社における給与曲線はシステム開発各社に比べて大きく上方に乖離しており、形態としては金融機関のそれに似ています。 業務環境 当社の特徴 当社は自社内に研究開発リソースを持つ独立系システムベンダーであり、ALM・収益管理、信用リスク管理、市場リスク管理、オペレーショナルリスク管理をはじめとする金融ミドルオフィス系システム(=金融リスク管理システム)を開発販売しています。 当社は業種分類的には情報サービス業に属しますが、非常に専門性の高い分野に特化していることから事業特性としてはコンサルティング業に類似しています。 人員的にも金融業または研究者からの転向者ばかりであり、いわゆる情報サービス系企業の雰囲気とは大きく社風が異なります。 需要動向 金融リスク管理分野の需要はここ数年伸びてはおりません。 金融機関の合併が相次いだ結果、国際業務を行いうる金融機関はどの分野でも片手の指で数えられるくらいに減りました。 […]