2015年6月26日 – 弊社の提供するALMシステム (NtInsight® for ALM) は、市中協議文書「銀行勘定の金利リスク」(原題:Interest rate risk in the banking book)で提案された、主要な要件に対応可能となっています。6月8日にバーゼル銀行監督委員会から発表された市中協議文書では、IRRBBへの監督強化、自己資本の積み増し等を提案しています。市中協議文書で提示されている要件、NtInsight® for ALMの対応機能について、以下に記載します。
IRRBBの要件とNtInsight® for ALMの対応機能
No | IRRBB 要件 | NtInsight® for ALM 対応機能 |
---|---|---|
1 | 銀行の内部計測システム(IMS)は金利リスクの源泉を全て捕捉すべきである。 | 期限前償還など様々な要因を考慮して、ギャップリスク、ノンパラレルリスク、オプション性リスク、ベーシスリスクといった現在及び将来のリスクを捕捉。 |
2 | IMSは経済価値(EV)及び、期間収益(NIIまたはその他当局提示の指標)に基づくべきである。 | 詳細なキャッシュフローに基づき、EV・NIIを算出。 |
3 | 銀行は、現在のポートフォリオに対する静的なシミュレーションから、将来の事業活動を反映した動的モデルまで幅広いシステムを使用すべきである。 | 静的ポートフォリオシミュレーション及び将来の業務計画を反映した動的ポートフォリオシミュレーションの双方をサポート。 |
4 | IMSは銀行が選択した金利ショックシナリオと当局指定の金利ショックシナリオの双方に対応可能である。 | 銀行/当局が用意したシナリオ、ストレスシナリオ等、ユーザが任意に金利シナリオを設定可能。 |
5 | 内部モデルを採用している銀行であっても、標準的手法でIRRBBの最低所要最低自己資本の計測が必要である。 | 要件最終化後、標準的手法にも対応予定。 |
NtInsight® for ALM 対応機能の詳細
様々な要因を考慮したリスク捕捉
市中協議文書では、IRRBB を、ギャップリスク、ノンパラレルリスク、オプション性リスク、ベーシスリスクの4つのタイプに分類をしています。NtInsight® for ALM では、様々な要因を考慮した上で、これらのリスクを捕捉します。一例を挙げると、NtInsight® for ALM では、期限前償還モデルを使用して、オプション性リスクを計測可能です。
詳細なキャッシュフローに基づく、EV・NII の算出
NtInsight® for ALM は、銀行勘定の資産・負債から発生する将来のキャッシュフローを詳細に捉えることが可能です。すなわち、それぞれの取引から発生する一つ一つのキャッシュフローまでブレークダウン出来ます。これらキャッシュフローの現在価値の変動が、EVの変動となります。また、NtInsight® for ALM は、ユーザーが各々の会計期間ごとにキャッシュフローの変動を把握可能なため、NIIの把握も併せて可能となります。
静的及び動的ポートフォリオシミュレーションのサポート
NtInsight® for ALMでは、開始当初のポートフォリオを変動させない静的なシミュレーションに加え、業務計画という機能により、シミュレーションの過程で動的にポートフォリオを組み替えることが可能です。この機能により、内部モデルで勘案すべき、将来の収益に対する動的観点の分析が可能となります。
任意の金利シナリオの設定
NtInsight® for ALM では、ユーザーがシナリオを入力することで、財務シミュレーションを行う経済環境をユーザーが任意に設定可能となっています。これにより、各銀行の想定した金利シナリオや当局が用意した金利シナリオ下での経済価値、期間収益の変動が計測可能です。
上記の機能に加えて、弊社では、第1の柱案、第2の柱案の双方で計測が求められている標準的手法についても、対応の予定です。
市中協議文書「銀行勘定の金利リスク」(IRRBB)の概要
市中協議文書は、IRRBB について、以下の2案の両論併記となっています。
- 第1の柱化
IRRBB を標準的手法で計測し、自己資本比率への反映、すなわち自己資本の積み増しを求める。 - 第2の柱の深化
自己資本の積み増しを自動的に求めないが、IRRBB の計算方法の厳格化および開示を求める。
第1の柱案では標準的手法での IRRBB の計測が求められており、今回の市中協議文書では、標準的手法について、4つの選択肢を提案しています。経済価値のみで計測する手法以外に、経済価値に加え、期間収益を考慮した計測手法も提案されています。
第2の柱案では、各銀行の内部モデルで計測された IRRBB に加え、第1の柱案で提案された標準的手法で計測された IRRBB の開示も求めています。また、内部モデルについても、当局が用意した6つの金利シナリオで計測を求めています。具体的には、内部モデル/標準的手法でそれぞれ、下記の開示が求められています。
- 内部モデル
- 銀行が選択した金利シナリオ下での、
- 経済価値の変動
- 期間収益の変動
- 主要なモデルパラメータのモデル仮定
- 当局が用意した6シナリオ下での、
- EVE(Economic Value of Equity)の変動額と Common Equity Tier1 の割合
- NII(Net Interest Income) の変動額と NII(Net Interest Income) の割合
- 銀行が選択した金利シナリオ下での、
- 標準的手法
- 当局が用意した6シナリオ下での、
- 標準的手法での計測結果
- 当局が用意した6シナリオ下での、