2000年9月1日 – 東京 – 大規模信用リスク管理システム CreditBrowser® のバージョンアップを行いました。三菱信託銀行株式会社様、株式会社東京三菱銀行様、株式会社住友銀行様ほかに順次リリース致しました。主な新機能は以下の通りです。
日英2カ国語対応
国際化対応、特に海外支店審査部門との業務統合のため、画面表示を日本語、英語の2カ国語対応としました。文字通り太平洋を跨いで同じ計算結果を閲覧できます。使用する言語はログイン画面から選択することができます。クライアント稼動OSもこれに伴い英語版を含む各国語版の Windows に対応しました。なお、サーバー機OSはこれまで同様 UNIX です (Compaq Tru64 UNIX, Sun Solaris 7 & 8, Linux, およびHP-UXに対応)。
ThinClient化
最近の合併に伴う大規模金融機関の誕生により、 CreditBrowser® の対象データ量もさらに増大、現在では個人ローン総数規模 (100万件クラス) のフルシミュレーションさえ行われています。このため、 OLAP-DB ビューアとしての性格も併せ持つ CreditBrowser® システム全体に、一層のチューニングを行う必要性が生じました。クライアントPCへの負荷を軽くするとともに、先の国際化対応によるWAN経由を意識してトラフィックを軽減、インターネット経由での利用も可能にしました。
リスクコントリビューション算出機能の拡充
邦銀大手行では、不良債権問題が峠を越えるとともに、単にVaRを算出するだけではなく、求めたリスクエクスポージャーを個社別に再配分し、旗振りに用いるニーズが強まっています。この場合、最終的にVaRを取引コストに還元する必要があり、エクスポージャー概念に加法性を付与しなければなりません。今回のバージョンアップでは、相関配分方式として信用力関数基準とデフォルト率(2値化)基準の2種類を備えました。また、実質リスク対象資産のボラティリティ入力方式に外部入力方式を追加、リスク対象資産の認識方式にも各種メニューを追加しました。
破綻懸念先に対する実績引当率対応
破綻懸念先に対する実績引当率と格付け遷移後の想定引当率を入力可能です。モンテカルロシミュレーションの各シナリオパスにおいて、特定の格付けになった場合は引当計上処理を行い、エクスポージャーを再調整します。これは、日本国内における規制対応に準拠したものです。
新しい収束性改善手法の採用
従来の2次サンプリング法 (Quadratic Resampling) に加えて、シミュレーション最終段階における確率マッチングアルゴリズムを実装しました。この結果、入力となる格付け遷移確率行列とシミュレーション結果が、シミュレーション回数に関係なく文字通り一致、デフォルト期待値がシミュレーション法にもかかわらず解析値に収束します。モンテカルロシミュレーションの分散減少法(収束性改善策)には各種ありますが、よく知られた一般問題に対する手法ではなく、信用リスク算出に特化した手法を当社が新たに研究し開発したものです。
ユーザー認証管理機能の強化
従来からあるパスワード認証機能を強化しました。米国防総省基準C2適用環境での運用を前提として、チャレンジ3回での15分間シャットアウト、パスワードの有効期限管理、排他アクセス制御などを組み込みました。エンドユーザーに対しては、サーバー側稼働環境に関する情報は、ホスト名(ネットワークアドレス)とポート番号を除いて隠蔽されます。