概況
前会計年度(2009年4月~2010年3月)の売上高は455,475,000円(前期比-42.9%)となりました。
創業から12期目にあたる今期(2010年3月期)は前期比-42.9%と大きく売上高が減少しました。これは2007年から2008年にかけて発生した金融危機を背景として当社の顧客である金融機関からの発注が減少したためです。当社では見込み案件が出来てから納品までに平均1年程度かかるため、1年先の業績をかなり正確に予想できます。 過去10年間を振り返っても期初予想をほとんど外しておりません。 今期の場合も期初から売上減少を予想できたため経費を抑制基調とし、黒字で決算を終えることができました。
来期(2011年3月期)につきましては今期とほぼ同水準の売上高を予想します。 引き続き顧客金融機関の経費削減が続いているため大型案件の受注は期待できないと考えております。 その一方でスーパーコンピューティング関連などの先行投資を続行する予定です。 また来期は後述する特殊要因(海外法人設立)のために関連経費が発生する予定です。利益については経費水準を引き続き抑えることにより若干の黒字決算で着地させる予定です。
なお、民間企業信用情報会社に対する当社からの財務情報開示は2006年3月期決算を最後にして行っておりません。また民間企業信用情報会社から今後接触を受けたとしても財務情報の開示は致しません。 この方針は、2006年4月1日の法改正「所得税法等の一部を改正する等の法律」施行により法人税を含む公示制度が廃止されたことに合わせる形で実施しました。 したがって、株式会社帝国データバンクと株式会社東京商工リサーチなどの民間調査会社から得られる当社の財務情報は各社による推定値か、または本欄に記載された数値およびグラフから転記されたものです(「コラム: 格付け冬の時代到来? – 企業信用情報データベースの現実」参照)。 当社と直接取引のあるお客様、取引をご検討のお客様に対しては、当社財務諸表を個別に開示致しますので直接ご請求くだされば幸いです。
当期売上高
455,475,000円
当社は大手の金融機関から直接受注して製品開発を行うパッケージソフトウェア業であり、販売商品は自社開発ソフトウェア製品です。外部のシステムインテグレーターを介した契約はなく、仕事の外注も行っておりません。 従って仕入れも在庫も基本的に存在しないため、販管費の大半は人件費が占めております。
資産の状況
当社の資産の大半は現預金です。 残りの資産も大半がコンピュータのハードウェアです。 すなわち、当社資産は超短期かつ流動性のきわめて高い資金ポジションになっております。
資本の状況
資本金 50,000,000円 + 準備金 6,200,000円
資本勘定の6,200,000円は法令に定めるプログラム等準備金です。 租税特別措置法第20条の2第1項及び第57条第1項の表の第1号の中欄のロに規定する汎用プログラム(制御プログラム以外のもの)として、情報処理振興事業協会にソフトウェア登録。 登録番号25295。 登録年月日 平成11年2月28日。 このプログラミング等準備金については法令改正(廃止)が決まっており、当社では2004年3月期決算から逐次取り崩しております。 株式保有状況については、当社の取締役3名が当社株式を100%保有しており、外部との資本関係は一切ございません。 当社は資本面で中立な企業です。
設備投資の状況
今日のリスク管理は装置産業でもあります。高い開発生産性を維持し、顧客金融機関のニーズに応えていくためには自社保有システムを強化していかねばなりません。 近年は金融機関の大型化が進んだ結果、顧客保有データと同等規模のテスト環境を整備するだけでも一苦労です。 特に負債サイドALMや日次シミュレーションを実現するためには、多大なハードウェア投資を必要とします。 このため、引き続き高水準の設備投資を行っております。 前期においては、東京工業大学のスーパーコンピュータを利用し、高度に並列動作する動的シミュレーションモデルを使ったALMモデルを実用化しました。 本研究は、「戦略分野推進:社会基盤のリスク管理シミュレーションへのHPC応用技術の開発『大規模ALMシミュレーションへのHPC技術の適用』」として採択して頂いております。 詳細は、公開文書「金融ALM/リスク管理モデルの運営とコンピューティング・グリッド技術の応用」等をご覧ください。
海外法人の設立
当社は非上場会社で外部株主もおりません。創業以来黒字の無借金経営ですから財務的にも超健全な状態にあります。したがって無理に経営成績には拘る必要はないわけですが、当社が担う金融リスク管理業務において最早日本国内で伸びる余地が乏しくなっていることも事実です。このため、来期(2011年3月期)は海外法人(シンガポール法人)を設立する予定であり、今後は海外の日系非日系金融機関へと取引開拓していく所存です。
シンガポール法人設立に関してはこちらをご覧下さい(2010年10月追記)。
知的所有権と開発プロジェクトのリスク管理について
知的所有権については、商標登録、著作権登録、および特許申請によって防御しております。
開発プロジェクトのリスクについては次のように考えます。 当社には、金融機関におけるシステム開発に関しては発注側・受注側の双方から長年の経験があります。 資本面の充実によって大型プロジェクト案件に耐えうるだけの財務体力もついて参りました。 それでもなお、仮に開発プロジェクトのリスクが現実のものとなった場合、売掛金回収期間の長期化と経営資源固定化により経営悪化が不可避です。 また何よりも風評の悪化を懸念しますから、中途でプロジェクトをやめるわけにはいきません。 受注前段階において開発リスクを案件別に評価し、成功確率が低く危険と判断したならば、商談見送りも辞さない方針をこれまで通り堅持したいと思います。 そのほか、当社の顧客に対しては、顧客、当社、(財)ソフトウェア情報センターの三者間でのソフトウェア・エスクロウ契約締結を促しており、当社に万が一の事態が起きた場合にはソースコードを含む全預託物の所有権がお客様へ譲渡されるようにしております。 2005年4月1日から全面施行となった個人情報保護法および内部統制との関連においては、当社内部の情報管理を徹底するとともに、情報流出を防止するべく従来通り社外への開発の外注は行わずに100%内製化を貫く方針で今期も臨みたいと考えます。
どうか今後とも一層のご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
ニューメリカルテクノロジーズ株式会社
代表取締役社長 鳥居 秀行