概況
前会計年度(2011年4月~2012年3月)の売上高は603,272,500円(前期比+33.4%)となりました。
創業から14期目にあたる今期(2012年3月期)は、売上回復の好調な決算でした。 金融危機後の低迷から一転して需要が増加したことによるものです。 当社は製品開発と海外向け営業を目的として、シンガポールに新会社 Numerical Technologies Pte Ltd を2010年10月に設立しました。 単純に日本法人単体の業績を過去の業績と比較しても連続しません。 このため現在の形での業績開示は今期を最後とする予定です。 当社と直接取引のあるお客様、取引をご検討のお客様に対しては、当社日本法人ならびに海外法人の財務諸表を個別に開示致しますので、直接ご請求くだされば幸いです。
来期(2013年3月期)につきましてはユーロ危機等の混乱が業績に悪影響をもたらす可能性はあるものの、バーゼル2.5、バーゼル3を見越した需要が高水準にあるため、引き続き業績好調を予想しております。
なお、民間企業信用情報会社に対する当社からの財務情報開示は2006年3月期決算を最後にして行っておりません。また民間企業信用情報会社から今後接触を受けたとしても財務情報の開示は致しません。 本方針は、2006年4月1日の法改正「所得税法等の一部を改正する等の法律」施行による公示制度廃止と平仄を合わせる形で実施しました。 したがいまして、株式会社帝国データバンク、株式会社東京商工リサーチなどの民間調査会社から得られる当社の財務情報は、各社による推定値か、または本欄に記載された数値およびグラフから転記されたものです。 「コラム: 格付け冬の時代到来? – 企業信用情報データベースの現実」を併せてご参照ください。
当期売上高
603,272,500円
当社は大手の金融機関から直接受注して製品開発を行うパッケージソフトウェア業であり、販売商品は自社開発ソフトウェア製品です。 当社グループ外への外注は行っておりません。
資産の状況
当社の資産の大半は現預金です。 残りの資産も大半がコンピュータのハードウェアであり、きわめて安全性の高い資金ポジションになっております。 負債も前受金等を除けばほぼ皆無であり、自己資本比率(株主資本比率)も高く実に87.5%に達します。
資本の状況
資本金 50,000,000円
当社株式は、当社の取締役3名が普通株として100%保有しており、外部との資本関係は一切ございません。 当社は資本面で中立な企業です。
設備投資の状況
今日のリスク管理は装置産業でもあります。高い開発生産性を維持し、顧客金融機関のニーズに応えていくためには自社保有システムを強化していかねばなりません。 近年は金融機関の大型化が進んだ結果、顧客保有データと同等規模のテスト環境を整備するだけでも一苦労です。 特に負債サイドALMや日次シミュレーションを実現するためには、多大なハードウェア投資を必要とします。 このため、引き続き高水準の設備投資を行っております。 当社における技術開発はシンガポール法人が担当しますので、今後は設備投資もシンガポール側で主に行います。
海外法人の設立
当社は長年にわたり金融リスク管理業務を担ってきました。当社の国内シェアはきわめて高く、大手金融機関の過半が当社製品を採用、残るは政府系か中小金融機関しかありません。最早日本で伸びる余地は大きくないのです。 また別の要因として日本で採用可能なITエンジニアの質が海外に比べて相対的に劣化している問題があります。 これは、1)英語・中国語圏に対する日本語圏の比重縮小、2)日本の労働者の保守化傾向による採用難、3)海外における高学歴化の進展、が背景です。 当社はこうした問題に対応するべく2010年10月、シンガポールに新会社を設立しました。 シンガポール法人は大学院卒業以上の高度専門職チームです。 今後は海外法人から海外の日系非日系金融機関へと取引開拓する所存です。
知的所有権と開発プロジェクトのリスク管理について
知的所有権については、商標登録、著作権登録、および特許申請によって防御しております。
開発プロジェクトのリスクについては次のように考えます。 当社には、金融機関におけるシステム開発に関しては発注側・受注側の双方から長年の経験があります。 資本面の充実によって大型プロジェクト案件に耐えうるだけの財務体力もついて参りました。 それでもなお、仮に開発プロジェクトのリスクが現実のものとなった場合、売掛金回収期間の長期化と経営資源固定化により経営悪化が不可避です。 また何よりも風評の悪化を懸念しますから、中途でプロジェクトをやめるわけにはいきません。 受注前段階において開発リスクを案件別に評価し、成功確率が低く危険と判断したならば、商談見送りも辞さない方針をこれまで通り堅持したいと思います。 そのほか、当社の顧客に対しては、顧客、当社、(財)ソフトウェア情報センターの三者間でのソフトウェア・エスクロウ契約締結を促しており、当社に万が一の事態が起きた場合にはソースコードを含む全預託物の所有権がお客様へ譲渡されるようにしております。 2005年4月1日から全面施行となった個人情報保護法および内部統制との関連においては、当社内部の情報管理を徹底するとともに、情報流出を防止するべく従来通り社外への開発の外注は行わずに100%内製化を貫く方針で今期も臨みたいと考えます。
どうか今後とも一層のご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
ニューメリカルテクノロジーズ株式会社
代表取締役社長 鳥居 秀行