概況
前会計年度(2010年4月~2011年3月)の売上高は452,325,000円(前期比-0.7%)となりました。
創業から13期目にあたる今期(2011年3月期)は、金融危機を背景として低迷した前期に続いてほぼ横ばいの売上高となりました。 当社では見込み案件が出来てから納品までに平均1年程度かかるため、1年先の業績をかなり正確に予想できます。 今期の場合も期初から売上減少を予想できたため経費を抑制基調とし、後述する特殊要因(海外法人設立)のために関連経費が発生したものの、黒字で決算を終えることができました。
来期(2012年3月期)につきましては売上高も回復し、再び6億円台に達する見込みです。 ユーロ危機等の混乱による顧客金融機関の経費削減が続いておりますが、その一方で金融リスク管理の需要が強いためです。 利益については経費水準を引き続き抑えることにより、若干の黒字決算で着地させる予定です。
なお、民間企業信用情報会社に対する当社からの財務情報開示は2006年3月期決算を最後にして行っておりません。また民間企業信用情報会社から今後接触を受けたとしても財務情報の開示は致しません。 この方針は、2006年4月1日の法改正「所得税法等の一部を改正する等の法律」施行により法人税を含む公示制度が廃止されたことに合わせる形で実施しました。 したがって、株式会社帝国データバンクと株式会社東京商工リサーチなどの民間調査会社から得られる当社の財務情報は各社による推定値か、または本欄に記載された数値およびグラフから転記されたものです(「コラム: 格付け冬の時代到来? – 企業信用情報データベースの現実」参照)。 当社と直接取引のあるお客様、取引をご検討のお客様に対しては、当社財務諸表を個別に開示致しますので直接ご請求くだされば幸いです。
当期売上高
452,325,000円
当社は大手の金融機関から直接受注して製品開発を行うパッケージソフトウェア業であり、販売商品は自社開発ソフトウェア製品です。外部のシステムインテグレーターを介した契約はなく、仕事の外注も行っておりません。 従って仕入れも在庫も基本的に存在しないため、販管費の大半は人件費が占めております。
資産の状況
当社の資産の大半は現預金です。 残りの資産も大半がコンピュータのハードウェアです。 流動比率は1,786%に達し、きわめて安全性の高い資金ポジションになっております。 負債も前受金等を除けばほぼ皆無であり、自己資本比率(株主資本比率)は94.5%に達します。
資本の状況
資本金 50,000,000円
当社株式は、当社の取締役3名が普通株として100%保有しており、外部との資本関係は一切ございません。 当社は資本面で中立な企業です。
設備投資の状況
今日のリスク管理は装置産業でもあります。高い開発生産性を維持し、顧客金融機関のニーズに応えていくためには自社保有システムを強化していかねばなりません。 近年は金融機関の大型化が進んだ結果、顧客保有データと同等規模のテスト環境を整備するだけでも一苦労です。 特に負債サイドALMや日次シミュレーションを実現するためには、多大なハードウェア投資を必要とします。 このため、引き続き高水準の設備投資を行っております。
海外法人の設立
当社は非上場会社で外部株主もおりません。創業以来黒字の無借金経営ですから財務的にも超健全な状態にあります。したがって無理に経営成績には拘る必要はないわけですが、当社が担う金融リスク管理業務において最早日本国内で伸びる余地が乏しくなっていることも事実です。このため2010年10月、シンガポールに新会社を設立しました。今後は海外の日系非日系金融機関へと取引開拓していく所存です。
知的所有権と開発プロジェクトのリスク管理について
知的所有権については、商標登録、著作権登録、および特許申請によって防御しております。
開発プロジェクトのリスクについては次のように考えます。 当社には、金融機関におけるシステム開発に関しては発注側・受注側の双方から長年の経験があります。 資本面の充実によって大型プロジェクト案件に耐えうるだけの財務体力もついて参りました。 それでもなお、仮に開発プロジェクトのリスクが現実のものとなった場合、売掛金回収期間の長期化と経営資源固定化により経営悪化が不可避です。 また何よりも風評の悪化を懸念しますから、中途でプロジェクトをやめるわけにはいきません。 受注前段階において開発リスクを案件別に評価し、成功確率が低く危険と判断したならば、商談見送りも辞さない方針をこれまで通り堅持したいと思います。 そのほか、当社の顧客に対しては、顧客、当社、(財)ソフトウェア情報センターの三者間でのソフトウェア・エスクロウ契約締結を促しており、当社に万が一の事態が起きた場合にはソースコードを含む全預託物の所有権がお客様へ譲渡されるようにしております。 2005年4月1日から全面施行となった個人情報保護法および内部統制との関連においては、当社内部の情報管理を徹底するとともに、情報流出を防止するべく従来通り社外への開発の外注は行わずに100%内製化を貫く方針で今期も臨みたいと考えます。
どうか今後とも一層のご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
ニューメリカルテクノロジーズ株式会社
代表取締役社長 鳥居 秀行