2004年5月 – 東京 – 平均的なITエンジニアは世間的な意味での「プロ」ではないという話題です。身に覚えがあると思いますが、難しいシステムプロジェクトはやはりうまくいかないし、大手か中小かを問わずシステムインテグレーターが高度なシステムを納品することはなく、「他社製アプリXと他社製データベースYを簡易言語を使って組み合わせます」となってしまう。

  • 情報化投資に支えられてITサービス業の売上高は1995年以降増加傾向、2002年11月1日現在で実施した調査結果では従業者数は56万9823人(2001年比+0.8%)*1
  • 経済産業省ITスキル標準(ITSS)による分類方式に照らせば、30才以下のITエンジニアの半数以上が”初心者”に該当する。日本のITエンジニアのうち、コンピュータ・サイエンスやソフトウェア工学に関する教育を受けた人は半数以下(48.6%)である*2
  • 2004年秋、米マサチューセッツ工科大学(MIT)の電気工学/コンピュータ学科(Department of Electrical Engineering and Computer Science:EECS)に入学する学部生は200名を下回る。昨年の入学者数は約240名、3年前には385名だった*3

IT業界では、本当に有能な人材はまさに宝石のようなものです。


  • *1 出所: 経済産業省、”特定サービス産業実態調査実態調査”
  • *2 出所: “ITエンジニアのスキル実態”, 日経ITプロフェッショナル 2003年10月号、日経BP社, “第3回ITスキル調査”。この調査は、日本ではエンジニア育成は大学よりも産業界のOJT(on the job training)が中心となって行われている現状や、ITSSの評価方法(経験年数重視)を割り引いて見なければなりません。とはいえ、海外のITエンジニア、あるいは日本でもIT分野以外の技術者の大半が当該分野に関する専門教育を受けていることを考えれば、日本のITエンジニアの現状は際だっています。
  • *3 出所: CNET Japan, 「コンピュータ科学に背を向ける学生たち」(翻訳記事)。その理由を同記事は、「VoIPやEコマースなどと言われて、コンピュータ科学が、宇宙の歴史を紐解くことより魅力的な学問だと思う人は少ない」、と要約しています。なお日本ではIT教育が出遅れており、情報工学関連の講座数がそもそも少ないためか、ここまで劇的な変化は見られません。ただ、最近の東京大学の進学振り分け(大学2年次に行われる学科選択試験)の動向を見ますと、近年凋落が著しいバイオ系ほどではないにしても、先行きは米国と似たようなものではないでしょうか。
NumTech
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