1999年5月18日 – 東京 – 金融財務研究会主催 於 東京証券会館

概要

咋今、日米金融当局による信用リスク規制強化、BIS の自己資本規制見直し論議が加速しています。
この種の規制論議は、個別金融機関のリスク管理水準向上の観点のみから客観的・中立的検討が行われているとは限りません。市場リスク規制導入の時と同じく、各国・各金融機関の意図、すなわち有力行の資本レバレッジ拡大欲求や、他国・他社をバッシングすることによる比較優位効果狙い、あるいは不利な話題から論点をそらせたいとする意欲が見え隠れするなど、政治的思惑が多分に働いていることも事実です。

ゆえに規制に対応する金融機関は、着地点を予想しながらこの流れについていかねばなりません。また、そうしなければ、第2次 BIS 規制時と同じ辛酸を嘗めることになるでしょう。そこで、このセミナーでは4月21日に発表された BIS レポート、Credit Risk Modelling: Current Practices and Applications(バーゼル銀行監督委員会「信用リスク・モデル:現状とその活用」、仮訳が日本銀行のホームページにあります)に沿って、金融機関側の立場から信用リスク規制、特に内部モデル対応に纏わる諸問題を冷静な目で整理すべく試みました。ともすれば数学的側面に流れがちなこの問題への理解と皆様の見識を高め、対外競争上の必要悪としての理論武装強化、あるいは本質的意味合いでの信用リスク管理水準向上の一助となれれば幸いです。

セミナーで配布した資料
セミナーで配布した資料「信用リスク規制への内部モデル対応 pdf 3.9MB」はこちらからご請求いただけます。

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内容目次

1. 第2次BIS規制をめぐる顛末

  • 1.1 発端 (~1992)
  • 1.2 規制当初案 (1992頃)
  • 1.3 論点拡大 (1993~1995)
  • 1.4 業界団体の活躍 (1993~)
  • 1.5 VaR モデル登場 (1994)
  • 1.6 米国勢の攻勢 (1993~1996)
  • 1.7 VaR システムブーム (1994~1997)
  • 1.8 形骸化する規制 (1997~)
  • 1.9 試される規制効果 (1997~1998)
  • 1.10 新たな動きへ (現在)
  • 1.11 まとめ – 1990年代の金融規制動向

2. 信用リスク規制の現在と将来

  • 2.1 なぜ第1次BIS の見直しが必要なのか
  • 2.2 見直しの方向性
  • 2.3 新規制適用による弊害
  • 2.4 「米国 vs. その他各国」の構図
  • 2.5 各国が避けたいシナリオ
  • 2.6 米国が避けたいシナリオ
  • 2.7 テクニカルな側面からの問題点
  • 2.8 ドラスティックな内容での早期決着はない
  • 2.9 容易と想像される外部監査
  • 2.10 「ローカル」規制対策の必要性
  • 2.11 健全な議論を
  • 2.12 まとめ – 第3次 BIS 規制をめぐる攻防
3. 規制対応モデルのあり方

  • 3.1 米国内での内部モデル対応
  • 3.2 日本の融資スタイル
  • 3.3 国内版「第3次」BIS 規制対応
  • 3.4 BIS 対応(1) – 信用損失の定義
  • 3.5 BIS 対応(2) – リスク計測期間
  • 3.6 BIS 対応(3) – 信用リスクの集計方法
  • 3.7 BIS 対応(4) – 確率密度関数
  • 3.8 BIS 対応(5) – 条件付きか無条件か
  • 3.9 BIS 対応(6) – 内部管理での活用
  • 3.10 BIS 対応(7) – デフォルト時の損失比率
  • 3.11 BIS 対応(8) – 格付遷移とデフォルト頻度
  • 3.12 BIS 対応(9) – 信用相関
  • 3.13 BIS 対応(10) – クレジットスプレッド
  • 3.14 BIS 対応(11) – バックテスティングなど
  • 3.15 BIS 対応(12) – 内部レビューと監査
  • 3.16 まとめ – 信用リスクモデルの現実解

4. おわりに

NumTech
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ニューメリカルテクノロジーズ株式会社は、最先端の金融リスク管理ソフトウェアパッケージ製品の開発・保守サポートを提供するソフトウェア開発会社であると共に、高機能コンピューティング(HPC)、並列モンテカルロ・シミュレーションおよび金融モデリングに高い知識と経験をもつコンサルティング会社としての側面をもちます。